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永福寺跡〜初冬の鎌倉散策その2 [史跡散歩]

以前、鎌倉の二階堂にある永福寺跡を紹介したことがあります。
http://rains-photogallery.blog.so-net.ne.jp/2017-10-27

その記事では、2007年10月の一面に荻(おぎ)が生えた原っぱに風のわたる景色と、2014年12月の復元工事中の写真を紹介しました。
今年6月に、復元工事が完了し公開されていますが、先日、現地を訪れる機会がありましたので、レポートします。

園路が整備され一見普通の公園のように見えます。
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少し進むと大きな池があり、その向こうに寺院の基壇だけ復元された姿が見えます。
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説明板の中央には湘南工科大学によって作成された復元想像CGが掲げられています。
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推定伽藍配置図
永福寺伽藍配置図 (1).jpg

発掘調査で明らかになった創建時の永福寺は、東面する中央の二階堂とその両脇に阿弥陀堂、薬師堂を中心に複廊、翼廊、中門、釣殿が造られていました。、

池の南側から北側を見た光景です。
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左手に手前から阿弥陀堂、二階堂(本堂)、薬師堂の順に三つの建物が複廊により結ばれていました。

阿弥陀堂の基壇
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正面が16.7m、奥行きが12.7mの本瓦葺きの建物でした。
基壇は木製で化粧されていました。全国的に見ても珍しいものだそうです。

南複廊
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二階堂と阿弥陀堂をつなぐ幅約6.6m、長さ約12.7mの建物で、二棟廊ともよばれます。前面が廊下、奥が部屋になっていました。

発掘当時の写真を見ると建物の大きさがわかります。
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二階堂の基壇
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三堂の中心の仏堂で、正面約19.4m、奥行約17.6m、周囲に幅2.4mの裳階をつけた二階建の建物でした。

薬師堂基壇
二階堂の北側に建つ脇堂で、南側の阿弥陀堂とほぼ同じ大きさの建物です。
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遣水(やりみず)
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北翼廊の北側に谷間の流水を引き込んで作られていました。

釣殿
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池に突き出す南翼廊の先端には釣殿が設けられていました。釣殿は邸宅内の遊宴のための建物で、寺院建築に付随するのは大変珍しいものです。
『吾妻鏡』には二代将軍源頼家が、酒宴を釣殿で行ったという記述があります。

高台から境内を俯瞰してみました。
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池の北側から眺めています。
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池の東側からの眺めです。
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発掘調査から池の中央には反橋が架けられていました。橋は復元されていないので、CGで当時の様子を推し量るしかありません。
06.jpg

永福寺は頼朝が幕府の権勢を見せるための役割も併せ持っていたと思われるだけに、規模の大きな寺院です。こうして基壇や池が復元され、建物の大きさや配置、庭園の広さがわかるようになりました。

[12月3日撮影]

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