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永訣の朝 [雪景色]

このところ雪の話題が続いています。

昨日は「雪わたり」をとりあげましたが、今日も宮沢賢治の作品です。

宮沢賢治の「永訣の朝」は国語の教科書に載っていて、授業で繰り返し朗読した思い出があります。

(あめゆじゆとてちてけんじや)

という、賢治の出身地岩手の方言が括弧書きで繰り返されます。
国語の授業で方言が真っ正面から取り上げられる教材に降れていなかったため、とても新鮮に感じました。

(あめゆじゆとてちてけんじや)

賢治の最愛の妹、トシは胸を患い25歳という若さでこの世を去ろうとしています。
外にはみぞれが降っています。
トシは最期に、外のきれいな雪が食べたい、賢治兄さんに「雨雪を取ってきて」と頼んだのです。

(あめゆじゆとてちてけんじや)

  うすあかくいつそう陰惨な雲から
  みぞれはびちよびちよふつてくる

賢治は曲がった鉄砲玉のように飛び出して行って、松の枝に降り積もった一椀の雪を取りに行きます。

  わたくしのけなげないもうとよ
  この雪はどこをえらばうにも
  あんまりどこもまつしろなのだ
  あんなおそろしいみだれたそらから
  このうつくしい雪がきたのだ

鉛色の陰鬱な雲から真っ白な美しい雪が降ってくるのです。

みぞれまじりの雪を見ると、授業から何十年かたった今でも、この「永訣の朝」をふと思い出します。
この美しく悲しい詩を賢治が残したことで、トシは永遠に生き続けているのでしょう。

追記

1枚目は鎌倉の宝戒寺参道です。
2枚目は宝戒寺境内のロウバイの花。
3枚目は北鎌倉の円覚寺の選仏場。

[1月21日撮影]


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東雲

我が家には 父が娘達に贈ってくれた宮沢賢治集があって
今でも時折 本棚から引っ張り出してめくることがあります。
「永訣の朝」は 涙を流しながら読みました。
by 東雲 (2006-01-27 05:28) 

achami

昨日古本屋さんで宮沢賢治の本をいきなり買ってしまいました!
by achami (2006-01-27 12:32) 

kom

宮沢賢治はあまり読んでないんです。
でも、よく知っているような気がするのは何故なんでしょう。
よく知らないのに好きです。
やはり国語の教科書などで読んだからなんでしょうか・・・。
by kom (2006-01-27 21:39) 

Silvermac

ViolaMacです。
「永訣の朝」心打たれる詩ですね。
雪景色が一段と美しく見えます。
by Silvermac (2006-01-27 22:00) 

レイン

東雲さん、宮沢賢治を贈るとはとてもステキなお父様ですね。賢治の童話や詩はきっと何代も受け継がれていくことでしょう。

achamiさん、偶然でした。テレパシーでしょうか?

komaさん、教科書の影響って、きっと大きいと思いますよ。

violaさん、中学生の頃この詩を読んで以来、ずっと忘れていました。久しぶりに木の枝に降り積もった雪をみて思い出したのです。
by レイン (2006-01-29 19:17) 

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